こだわりの投資物件
いまはたとえ何億円持っていようが、「家などいらない、借りればいい」と考える人がゴマンといる。
買うのが得か損かの以前に、マイホームを貰って、一生同じ場所に締られるのが嫌なのである。
そういう住宅観を持った人たちがどんどん現れていることを知るべきだし、その程度のことが理解できないようでは、ビジネスマンとしての未来も危ういと言わざるを得ない。
いま六五歳以上の世帯は八九%が持ち家だ。
しかも住宅ローンも払い終わっている。
そんな親の家を親が亡くなったあと子供がもらえばいい、またその家を売って頭金にすればローンもラクになる。
それでもいまから老後の賃貸が不安で、どうしてもマイホームがほしいというなら、先ほども述べたように、せっせとお金を貯めて、六〇歳くらいになってから、中古のマンションでも買えばいい。
夫婦二人が住む小ぶりな物件なら安く手に入るだろう。
八〇歳まで生きるとすれば、一〇年程度持てばいい。
築一〇年末満の物件なら、建物の老朽化にともなう大規模改修や建て替えのリスクを回避できる。
生きている間、安心してマイホーム生活ができるだろう。
いや、何がなんでも新築がほしい、という人は、立地と物件をよほど吟味、精査する必要がある。
そして、いざというとき確実に人に貸せる、「賃貸に耐え得る物件」を買うことだ。
一〇年後、二〇年後、三〇年後でも人に貸せる。
そういう物件を買わなければならない。
その場合、カギになるのは前にも述べた「サスティナビリティ」(持続可能性)である。
これからは地域も建物もその価値を損なわず四〇年、五〇年と持続可能であるかどうかが重要となる。
たとえば、どんなに立派な住宅を手に入れても、地域の魅力がなくなり、環境が悪化すれば、当然、住宅の値打ちも下がる。
マイホームを切望するなら、建物の品質はもとより、土地の資産価値を将来にわたって維持する意欲のある沿線や地域(自治体)に住むべきだ。
そうしないとマイホームの資産価値の維持など望むべくもない。
音盤の性能を考えているか新たに買うにしろ、買い換えるにしろ、これからはよほど立地と物件を吟味、精査しないとえらい目に遭う。
それは将来的には「貸せるか」の問題に行き着くが、今日的には自ら居住するための住まいとしての「利便性」や「安全性」の問題に直結する。
この場合、一般的によい物件の要件としてあがるのは、立地条件と性能(間取り、外観、広さ、設備等々)である。
物件そのものの性能についてはすでに述べたので、ここでは立地条件について見てみたい。
立地条件と言えば、沿線とかエリアとか最寄り駅からの距離とか、周辺環境などをさすのが普通だが、これからはそれだけでは不十分だと思う。
沿線やエリアなどについては後で述べるとして、まずは通常のマイホーム購入指南書の類ではあまり触れられることのない「地盤」と「土壌」について考えてみたい。
日本は地震大同である。
いざというときマイホームを支えてくれるのは地盤である。
しかし木造二階建ての一戸建て住宅に地盤調査が義務づけられていないこともあって、日本人は地盤のよしあしにあまり興味がない。
一戸建て住宅の代表的な欠陥である不同沈下(住宅の部分的な沈み込み)は、水分を多く含んだ軟弱地盤が原因だ。
軟弱地盤は水が集まりやすい低地に多く、一般に水はけのよい高台の地盤は良好とされる。
しかし不同沈下は高台でも起きる。
斜面を切り崩して谷側に盛上した造成地では、切り崩した切上地盤と盛上地盤をまたいで住宅を建てるケースがある。
この場合、盛上が十分に固まっていないと、そちら側だけ家の重みで沈み込んでしまう。
マイホームの購入を考えている人は、自分の買おうとしている物件の建つ場所(建っている場所)がどのような地盤なのか、必ずチェックする必要がある。
「地盤など素人に調べられるのか?」と疑問に思われる向きも多いだろうが、実は難しいことではなくて、『土地条件図』を入手すれば、当該物件の所在地の地盤が簡単に調べられるのである。
マイホーム購入を考えている人は、ぜひこれをご覧になることをお勧めする。
これを見ると、どこの地盤がしっかりしていて、どこが弱いのか一目でわかる。
人気のある住宅地でも地盤のよしあしがくっきり分かれていて、「ああ、ここはもともと川だった」とか、「そうか、ここは造成地だったんだ」といったことが一発でわかる。
このほか地盤を知る方法としては次のようなものかある。
・地名で判断する―地名には昔の人の経験が詰まっている。
一般に川、沼、池、水、窪、谷などのつく場所は地盤の弱い低地に多く、山、丘、台、高、林などのつく場所は水はけのいい高台に多い。
たとえばS区はかつてS川が流れていた場所だからその名がついた。
・暗渠のある場所は避ける―地盤の弱い低地には川や水路が走っていることが多い。
しかし都会ではそれを目にすることが少ない。
上からフタをして暗渠にしてしまっているからだ。
よくあるのはフタの表面を埋め立てて緑道にしているケースだ。
車の進入ができないように車止めがしてあるので、すぐにそれとわかる。
・観察し、自ら行動する―その地域の古い住宅を観察する。
基礎部分や壁に亀裂などが走っていれば、そのあたりは不同沈下の起こる軟弱地盤の可能性がある。
また少々原始的ではあるが、地面を掘ることが可能なら、自分で実際に掘ってみるといい。
素人がスコップでずんずん掘れるようならアウト、ツルハシでも使わないと歯が立たないようならセーフである。
いずれにしろ地盤の強弱は住まいの耐震性に大きく影響する。
同じ揺れでも地盤の強い場所ではびくともしないのに、軟弱地盤では大きな被害が出る恐れがある。
地震で家が潰れたら住宅ローンだけが残る。
阪神・淡路大震災では、家を失った上に住宅ローンが残った人が約一万五〇〇〇人にものはったと言われている。
マイホームを再建しようと思ったら、前の家の分と一緒にダブルで住宅ローンを背負わなければならない。
重ねて言う。
立地の選定に当たっては、必ず地盤についても調べることをお勧めする。
さらに言えば、近くに工場がないか、あるいはかつて工場がなかったか、についてもあわせて調べる方がいい。
というのも産業空洞化で上場跡地の宅地開発が増えているが、そこで重金属やトリクロロエチレンなどの有害物質による土壌汚染が相次いで発覚しているからだ。
環境省の調べによると上壌汚染の判明件数が急増したのは九〇年代半ば以降で、いまでは年間一〇〇作を超えるようになっている。
見つかる有害物質としては、かつてはどこの工場でも洗浄剤として使っていたトリクロロエチレンをはじめ、猛毒の枇素、発ガン性の造影剤、ダイオキシンなどがある。
九〇年代半ば以降、こうした土壌汚染が次々と発覚するようになったのは、日本の地価暴落で不動産投資を活発化した欧米の外資系企業が、徹底的な土壌調査を行った結果である。
欧米では八〇年代に有害物質による市街地汚染が問題化し、米国では「スーパー・ファンド法」、オランダでは「土壌保全法」が制定され、汚染の原因者に対して行政が対策を命じることができるようになった。
同様の法律が九〇年代に入るとドイツの「連邦土壌保護法」のほかデンマークなどでも制定されている。
日本でも遅まきながら「土壌汚染対策法」がやっと国会で成立、二〇〇三年一月一日、施行されることになった。
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